2009年7月24日金曜日

古い家






私の家の向かい側に、道路を挟んで上の写真で示した古い西洋館があります。

 故人になられた元慶大潮田塾長の住まいで、現在は、九十を超えた奥様が裏に建てられたログハウスで、頻繁に訪れる娘さん夫妻の支援を得て生活をされています。

 道路は、鎌倉駅から大仏へ徒歩で行ける主要ルートなので、外国人や、遠足の生徒等でかなりの賑わいを見せています。 特に、最近は英語以外に、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、中国語等の様々な言語を聞くことができます。

 面白いのは、古い西洋館を見た際の反応で、日本人と西洋人とではほぼ正反対と言ってもよい反応を示します。特に小学生は「お化け屋敷」といって足早に逃げるように通り過ぎるのに対し、多くの西洋人は、立ち止まって興味深そうに眺めたり、写真を撮ったりします。

 西洋人の中には、私が道路にいた際に、「この家に住みたいのだが」と尋ねてくる人もおり、私が下手な英語で「空き家(empty house)ではない」旨を説明すると、大袈裟に残念がったりする始末です。

 私は、西洋人が何故このような古い家に興味を持つのか疑問に思っていましたが、最近以下の記事を読んで、背景を少し理解できたような気がしました。


「米国中産階級の暮らし 日本よりぐんと豊かなのはなぜか」
                        (枝川二郎の「マネーの虎」)

 アメリカ北西部のシアトルに来ている。日本ではマリナーズのイチローで有名な街だが、経済ではマイクロソフト、ボーイング、アマゾン、スターバックス、コストコなど多くの企業を輩出したことでも知られる。アメリカが全国的に不景気にあえいでいるなかで、シアトルの状況は比較的良く、街にはまだまだ活気がある。

 普通のサラリーマンが庭でバーベキュー、湖で自家用ボート。こちらに来て強く感じることは、アメリカの中産階級の暮らしぶりが豊かなこと。日米でサラリーマンの収入にそれほど大きな差はないが、生活レベルではアメリカのほうがずっと豊かであり、それが人々の精神的な余裕にもつながっている。

 当地では年収数百万円の普通のサラリーマン家庭が広い家に住み、庭でバーベキューを楽しみ、休日には自家用ボートで湖に繰り出す、というのが普通の光景となっている。

 その違いが生まれる大きな原因は、資産運用の成果の違いによる。日本ではまともな資産運用というものは存在しない。1990年のバブル経済のピークから20年近く経ったが、いまだにバブル崩壊の重しがとれていない。株価はピークの数分の1のレベルにとどまっているし、不動産価格も長期的には下落傾向だ。つまり、今までに少しでも「積極的」な運用を心掛けた人の大半は損をしたというわけ。一方で、預金金利は限りなくゼロに近く、タンス預金と変わりないのだから、どちらにしても資産が減ることはあっても増えることはまずない、という状況だ。

 とくに住宅への投資が最も悲惨な状況だ。わが国の住宅は一般に安普請なので、新築で家を建ててもローンを返済し終えるころには建て直しが必要になる。家の金銭的価値はゼロになるということだ。これでは資産形成どころか資産消滅である。あるいは、住宅は「資産」ではなく「消費財」である、と言ってもよいだろう。政府も遅ればせながら200年間住める住宅を、などという掛け声は上げているが、築数十年の家に対しては銀行がまず融資をしてくれないし、「安普請でも新築を好む」という(海外では理解されない)見方が日本では相変わらず主流だから、現状は容易には変わらないだろう。

 日本では一生涯、資産が形成されることがない、それに対してアメリカの家は、100年はもつし、古い家こそ価値が高いという見方が一般化している。だから、家には当然のように資産価値が生まれる。アメリカの典型的なサラリーマンは、30歳代のころに子育てのために住宅ローンを組んで庭付きの一戸建てを購入する。そして子育てを終えた50歳代に狭い家に買い換える。そこで手にした差額が老後の大事な資金源となる。いまは不動産市況が悪化しているが、それでも日本のように、建物の価値がゼロになるといったケースは少ない。

 日本にはそれなりの企業で定年まで勤め上げても定年後の年金生活では、文字どおり年金以外の収入がほとんどない人が多くいる。これは何十年間も給与所得を得ても、それが資産へ変貌して果実を生むというふうにならないためだ。退職金が住宅関係の費用や子供への援助で消えてしまう、というのも追い討ちをかける。結果として一生涯、資産が形成されることがない。生命保険だけは多額にかけている人も多いが、死んだ後にいくら金をもらっても遅いだろう。

 私の資産が豊かでないのは、住宅のせいだとは思いませんが、住宅は耐久性のあるものであって欲しいものですね。

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