2009年7月5日日曜日

斎藤さまのエッセー 「老犬介護」


             老犬介護             齋藤 彰

「その後、犬飼い始めましたか」、「とても飼う気になれませんね」久しぶりに会う友人と交わす会話です。

 我が家で飼っていた犬が逝ってから3年が過ぎました。18年10か月で旅立ったのは「クー太」という柴犬でした。今は29歳になった息子が小学校-年生の時から飼い始めたのです。甘えん坊で元気いっぱいのクー太は、家族全員の愛につつまれ、何をするにも我が家の中心的存在でした。

 そんなクー太でしたが、歳とともに衰えが目立ち始めました。背中が丸まり、両手で首と胴を介護用ベルトで支えなければ散歩もできなくなってしまいました。それでも散歩の大好きなクー太は、日に6回も7回も外に出かけるようせがみました。息子でさえ散歩から戻ると「腰が痛いよ」と言うほどでした。しかし、家族の介護も空しく、私との散歩を最後に旅立ってしまいました。あと数日で「戌年」になるという平成17年12月27日のことでした。

 以上は我が家の犬の話ですが、最近は町でも高齢者が老犬と散歩している姿をよく見かけます。共にいたわるように歩いている姿は、見た目にも微笑ましく感じられますが、大変だろうなと経験上察せられます。人間も犬も寿命が延びて高齢化社会になっている現実も、私が犬を飼えない理由の一つです。私が年を重ねて「老老介護」という現実がちらつくからです。

 さらに最近は、認知症患着200万人、30年後には400万人との推計から「認認介護」も課題になると思われます。これらに対応できるように、日々の研鑽に励まなければならないと心新たにしています。

 (「県民児協だより」第99号  平成21年6月15日)

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