2010年10月28日木曜日

秦さまからの贈り物 最近米国事情 Tea Party

友人からの情報です。
皆様にとっては、目新しくなく余り参考にならないかもしれませんが、認識を新たにする機会になればと思い以下を転送します。

最近のアメリカのメディアでは、中間選挙の話題とともに、これに関連し て、 Tea Party 運動のことが、頻繁に報じられています。

ご承知のように、アメリカでは、民主党(現在与党)と、共和党の2大政 党の政治が続いて、そしてその国会議員―上院議員と下院議員の、中間選挙が11月2日に行 われます。

Tea Party は、Party と言っても、独立した第3の政治政党ではありませ ん。(もちろん午後に、お茶を飲む会、でもありません。)

実は民主主義先進国アメリカですが、その大統領選挙や国会議員選挙の制度は、 なかなか複雑で、
アメリカ人に聞いても、よく理解していない人も多く、 それぞれに違うことを言ったりすることもあって、
また日本の識者が、間違った解説を平気でしていることもありますので、 一般の日本人としては混迷しますが、州ごとにやり方の違う点もあって、理解するには面倒です。

アメリカの中間選挙のことを、要約しますと、

1. アメリカ大統領は、4年ごとに選挙が行われます。(偶数年です。  なお任期は4年ですが、再選で当選すれば、最大8年まで努められます。)

2. アメリカの国会議員は、上院議員(100名ー各州2名選出)、任期 6年で、その約3分の1の議員が、各2年ごとに選挙されます。

3.下院議員(435名)は、任期2年で、2年ごとに選挙されます。

4.それで、大統領の任期が2年経過したところで、即ち大統領任期(4年)の中間で、上院議員(3分の1)と、下院議員が、選挙となるので、これを中間選挙 (Midterm Elections) と言っています。

なお、この選挙(今年は11月2日)に合わせて、いくつかの州では、州 知事選挙や、その他の公職選挙が同時に行われます。

過去の一般的な事例では、大統領が就任して、最初の2年では、なかなか成果が出なかったり、また民主主義国の常として、マスコミや国民から、就任前の大きな期待に応えられていないとか、2年間の政治に対して、大いに批判もあって、おおむね大体は、中間選挙では、与党(大統領派)は、野党に敗戦しています。
そして、その2年後に、大統領選となりますが、その本番では、最後の2 年に大いに 善政をしたと認められれば、与党大統領は勝利するし、そうでなくやはり問題ありと批判されれば、敗戦 します。
アメリカ直接民主主義の、2大政党の、面白いところです。

さて、今回、昨年来各地のローカルで、草の根運動的に起こってきた、Tea Party 運動ですが、これが実は、今回の中間選挙に、大いに関わってきています。
Tea Party は、第3の政党ではなく、中央組織があって、独自の候補者を 擁立しているものではなく、
ニューヨーク州や、シアトルや、テキサスなど、全米各地の自由を求める、若いアメリカ人が Tea Party をつくり、(ローカルごとの複数のグループ組織だが、最近はその連絡連合もできて きている。)、
自分たちの意思や、抗議を唱え、その趣旨に副う、ある特定の中間選挙の 立候補者を、応援しています。

では彼ら Tea Party の掲げる主張とは何か?

まず、基本的に、自由 (liberty) を一番大切なものとし、国家によって国 民の自由を奪ってはならない、と主張しており、オバマ政権の現状政策に対して抗議し、国家は大きな税負担を国民に押し 付けては ならない、国家は大きな債務をしてはならない、国家は大きな赤字になってはならない、と主張し、
大きな政府に反対し、 国家の財政規律を求めている。 (大きな債務や赤字は、国民の負担とな る。)
また、オバマ政権の目玉政策でもある、医療保険制度改革に反対し、国民 の負担で大きな税金を使って、国民個人の自由に介入すべきではないとし ている。

なぜ Tea Party (お茶会)、と言っているのか?

ここでの言葉、Tea Party は、米メディアのニュースのプラカードを見ると、、”TaxedEnoughAlredy” (TEA) とあり、もう十分すぎる税金を払わされている!  もうこんな高い税金はこりご りだ!  というような意思と感情の、こもったネイミング表現ですが、実は、この高い税金に抗議する、アメリカ人の考え方と姿勢を、例の ”Boston Tea Party , ー ボストン紅茶事件”に、なぞらえております。

1773年マサチューセッチュ州ボストンで、当時イギリス の植民地であった、アメリカに渡った人々は、
イギリス本土からの数々の 税金による搾取に、苦しんでいましたが、アメリカで自たちの飲む紅茶まで、イギリスから税金をかけられ、ついに大勢で決起して(Tea Party)、 ボストン湾に停泊していた、
紅茶運搬船に乗り込み、その積荷である、たくさんの紅 茶の箱を、ボストン湾に投げ込んだ事件が起こりました。
ボストン湾の海水が、赤い紅茶色になったそうです。 
これが引き金になり、その後のアメリカの独立に、引き継がれていきました。  
ボストンの紅茶事件で、自分たちの祖先が、高い税金に反対し 立ち上がった、あのボストンの故事にならって、今回の草の根運動、Tea Party が、ローカル各地に起こったのです。

高い税金を減らせ、国の赤字を減らせ、国の借金を減らせ、国の支出を減 らせ、医療制度改革は税金を使いすぎる、政府は、国民の自由を侵すな、との抗議です。

どんな人たちが、参加しているのか?

それは主として、アメリカのローカル各地の、若い人たちが中心です。
アメリカは、現在失業率が 9.6% で大変ですが、若い人たちの失業 率は、その2倍、19%です!
大勢の若い人たちが、就職できない現状で、彼らは、現在の政府の政治の やり方に、大いに不満と、
不信を持ってきています。
そこで彼らは、草の根運動として、Tea Party に参加し、前述したような 主張を唱え、それを実現してくれる政党の候補者を中間選挙で支援しようとしています。
したがって、共和党の政策に、かなりリンクする部分がありますので、共 和党のある種の候補者には、支援として働きます。
しかし、全面的に、共和党と主張が同じとも言い切れないようです。

民主党は、オバマ大統領の就任で、無党派層の大きな支持をえましたが、 そのご景気の急速な落ち込みを防止したが、GMと景気回復のために、あまりにも多くの税金支出をし、大きな債務、 大きな赤字、高い税金、医療保険問題など、そして何より高い失業率、これらが、若い人を始め、国民の反発が強かったようです。
今や、無党派層のかなりの人たちが、オバマ大統領と民主党に落胆し、Tea Party の運動に共感を持っているようです。
この中間選挙では、民主党(上院・下院とも)は苦戦するだろうと、メ ディアは伝えています。
11月2日ー投票で結果が判明します。


翻って、日本の現状はどうか?

国家の大きな借金、財政は毎年の大きな赤字、高校や大学の卒業生が、そ して大勢の若者が、就職できずに困っている。
なにか、アメリカと似ているようですが、日本の若者は、内こもりになっ て、抗議の声は上がらないようです。

以上ご参考まで。      秦浩一

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